病気への備えの一つとして検討したい「食生活の改善による“予防”」
病気への備えの一つとして検討したい「食生活の改善による“予防”」
~お金の専門家であるFP(ファイナンシャルプランナー)が考える病気への備え~
生命保険文化センターの「平成22年度生活保障に関する調査」によると、病気やケガへの不安がある人の割合は、約90%に及ぶと言われています。具体的な不安としては、「長期の入院で医療費がかさむ」ことをはじめ、「公的医療保険だけでは不十分」といった内容などが挙げられています。
では、実際に病気で入院したり、就業不能状態になることで、どれぐらいの費用がかかるのでしょうか?
具体的な金額の話の前に、まずは、どういった費用(経済的な損失)が発生するかについて整理したいと思います。費用の内訳としては、大きくは、①公的医療保険制度(健康保険)における医療費の自己負担、②公的医療保険制度以外の自己負担、③就業不能になって収入が途絶えてしまった場合には「その間の生活費」、の3つが考えられます。
①の公的医療保険制度における医療費の自己負担については、日本は、世界でも優れた国民皆保険制度を実現していることもあり、負担割合が会社員や自営業者であれば3割。さらに高額療養費制度などが用意されている結果、自己負担額は過度には重くならない仕組みに設定されています。
例えば、同じ月に3割の自己負担額が30万円かかったとしても、実際の自己負担額は、87,430円にとどまります(70歳未満の所得区分が一般の方の場合)。
②の公的医療保険制度以外で自己負担になるものとしては、「差額ベッド代」、「公的医療保険対象外の特殊な治療費(先進医療の技術料等)」、「入院時の食事代の一部負担」、「お見舞い費用等のその他の雑費」などが挙げられます。これらは全額自己負担となります。
近年、差額ベッド代がかかる病室の割合は上昇傾向にあること、患者にとって治療の選択肢が増えたことなどから、公的医療保険制度以外の自己負担が重くのしかかるケースが増えています。
③の就業不能になって収入が途絶えてしまった場合については、会社員や公務員であれば、会社を休み給料が支払われない場合、休業4日目以降、休んだ日についておおよそ日給の3分の2が1年半を限度に傷害手当金が支給されます。月収を30で割った金額(=日給)が12,000円の人であれば1日あたり8,000円補てんできるということです。
以上の点を踏まえつつ、実際の医療費の自己負担額について、具体例を挙げて見ていきましょう。
例1は胃ガンで1カ月弱入院した場合、例2は脳梗塞で2カ月弱入院した場合となっています。
(35歳の会社員、所得区分:一般の場合) ①かかった医療費(自己負担ではなく医療費の総額) 約259.5万円 ②健康保険における医療費の自己負担額 (高額療養費の払戻し後、食事代の自己負担額含む) 約19.6万円 ③その他の自己負担額 (15日間個室に入院した際の差額ベッド代、その他の諸雑費等) 約26.8万円 ④医療費の自己負担額合計(②+③) 約46.4万円
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(52歳の会社員、所得区分:一般の場合) ①かかった医療費(自己負担ではなく医療費の総額) 約319.4万円 ②健康保険における医療費の自己負担額 (高額療養費の払戻し後、食事代の自己負担額含む) 約22.4万円 ③健康保険制度適用外の医療費の自己負担額 (14日間個室に入院した際の差額ベッド代、その他の諸雑費等) 約32.8万円 ④医療費の自己負担額合計(②+③) 約55.2万円 |
※生命保険文化センター「医療保障ガイド」を基に作成(平成24年8月現在の診療報酬点数による)
なお、上記の例は2つとも、入院期間中以外の費用が含まれていないことには注意が必要です。近年、入院日数が短期化する中で、がんなどは通院治療するケースが増えています。そのための費用や仕事ができない期間の生活費については、上記の例の中には含まれていません。
では、上記のような経済的な負担に対して、どのように備えればよいでしょうか?
その手段としては、大きくは、①医療保険やがん保険など「保険」で備える、②預貯金等で備える、③病気にならないように予防する(健康維持に努める) の3つが考えられます。
①の「保険」で備える際の保険料は、どちらかというと「安心料」という名のコストに近いといえます。毎月の金額で見れば、それほど大きな負担にはならないのかもしれません。ただ、病気やケガは一生涯つきまとうこともあり、大体のケース、かなり長期間にわたって保険に加入し続けることになります。
例えば、30歳で病気やケガに備えるための保険(医療保険やがん保険など)に加入し、保険料を65歳迄の35年間払い込む契約の場合、月々5,000円の保険料だとすると支払い総額は、210万円、月々1万円の保険料だと、420万円となります。トータルで支払う総額で見ると、馬鹿にならない金額(コスト)になるということです。
②の預貯金については、いざというときに引き出せるお金をどの程度用意できるかがポイントになります。③の「健康維持に努める」については、100%病気を予防することは難しいとはいえ、仕事やプライベートといった日常生活にもプラスの作用をもたらす可能性が高いといえます。
個人的には、ある程度「健康維持に努める」という視点を取り入れ、「保険」という手段に偏り過ぎないようにした方が、いろいろな意味で前向きで良いと思っています。それが結果的に、マネープラン上もプラスにつながると考えるからです。
上記のとおり、病気をすることによる経済的な損失はそれなりに大きくなります。金銭的な部分以外のことも含め、ご家族に迷惑をかけないためにも、健康維持に努めることは重要です。
私自身は、適度な運動することを心がけるともに、食生活についても意識しています。とは言っても、なかなかストイックに食生活を改善できるものではありません。そこで、美味しく食べることができ、かつ、必要な栄養素を効果的に取ることができる『なでしこ健康生活』の発芽玄米を食生活の基本に据えることにしてみました。
そのおかげで、健康診断の結果も良好、体調もよく日々、快適に過ごしています。
皆様もいかがでしょうか? オススメです。
大倉修治
<プロフィール>
特定の金融機関等に属さずに、ファイナンシャルプランナーを生業にして約12年。一般の生活者向けにお金にまわりに関するご疑問、悩みを解決するためのアドバイス業務や各種セミナーの講師、経済誌等への寄稿などを行っている。『万全の定年対策』、『今こそ見直そうあなたの保険2005年版』(実業之日本社・共著)など著書も多数。
http://profile.allabout.co.jp/pf/ookura-fp/